2018.09.12
雑文 

液状化。

出典:吉見吉昭:『砂地盤の液状化(第二版)』技報堂出版、1991、p.8 国土交通省HPより
(a)地盤内の密実でない砂質土は、砂粒子間の押し合う力によって安定を保っている。
(b)地震による連続した振動は砂粒子を密実化させる方向に働くが、砂粒子の間隙に存在する水(間隙水)の流出(地下水位の上昇)は短時間には進まないため、間隙水の圧力(間隙水圧)は一時的に上昇する。そして遂に噛み合わせが完全に外れて水に浮いたようになり、(液状化した瞬間)、強度を失って建築物等に影響を及ぼす。
(c)砂粒の沈降速度が一定とすれば、沈降距離の短い下部から順次沈降が完了して安定な状態になり、上部ほど沈降距離が長いため、水に浮いたような(液状化した)状態は長く
(d)時間の経過によって、砂粒子が密実化することで体積が減少して地表面が沈下する。また、間隙水の排出も進むが、その一部が地表面に吹き出すこと

北海道の地震の甚大な被害の報道が続いています。大規模な地すべりによる家屋の崩壊が際立つ中、人命に関わることが少ないため報道の中心とはならないまでも、今回も札幌郊外で起こった液状化は深刻なダメージを与えています。液状化は、上の(a)→(d)のプロセスで起こり、粒の摩擦力で成立していた砂の地盤が、地震によって強烈に揺さぶられることで摩擦力を失って泥水のような状態になることです。最後には粒は密に詰まり、その分地面は沈下します。その際、配管やマンホールなど空洞のある設備は浮力に耐えられず地表に現れます。住み続けることが困難なケースもあります。

建物自体の耐震性とは基礎よりも上の話ですが、基礎の下、地盤の種類・強さを認識することが必要です。とはいえ私個人としては「住み続けられるように作る」のではなく「倒壊により即時人命が失われない」ことに注力し、その後被災地以外の全ての人が復旧まで支援する方針が良いと考えます。人がわざわざ作った建築物によって人が命を落とすことがないように。以前大木聖子先生の講演でお聞きした「サバンナでは地震で命を落とすことはない」という言葉は印象的でした。