2023.03.17
法規 

何のための。

先日、新たに精神障害者支援施設を開設したいという、ご近所にお住まいの方が事務所にいらっしゃいました。建築的にどんな基準を満たす必要があるかをざっと調べると、まず建築基準法、消防法、そして東京都福祉のまちづくり条例というものがあります。こちらは国土交通省のパンフレットですが、表紙を見ると戸建て住宅をデイサービスセンターにすることが随分簡単になった印象を受けます。確認申請が必要な規模が100㎡から200㎡に引き上げられ、3階建て200㎡以下ならば耐火建築物にする必要もなくなっているのですが、例え10㎡の用途変更でも現行法に適合させ、東京都福祉のまちづくり条例に抵触しないように整備しなければなりません。階段の幅1.2m以上を確保し、オストメイト対応の車椅子使用者用便所が必須です。他にもおよそ戸建て住宅規模で事業を行おうと考える者には不可能と思われる要件が並びます。いくら何でも厳しすぎる、自分の解釈が間違っているのかと思い区役所に行き直接確認しましたが、間違っていないのでした。
いったい何のための緩和なのか。たしかに行政は補助金を出すにあたり、実績がある大きな事業者のほうが楽でしょうが、意欲ある小さな新しい事業者を認めて参入を促すことも大切だと思います。
私自身極小の事業者である身として常に思うのは、大企業はいないと困るけれど、小企業や個人もいないとツマラナイということです。大企業にはできない細かい対応、分業にはない非効率の良さもきっとあると信じています。
今は過渡期で足並みが揃っていないけれど、徐々に適正なストック活用に近づいて欲しいと思います。